2011年6月24日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JMM [Japan Mail Media] No.641 Extra-Edition4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://ryumurakami.jmm.co.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□ 南相馬市の教育に関して ■ 根本 剛:南相馬市立総合病院 外科 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■from MRIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 平成23年6月14日、青木紀男教育長と学校栄養士の鈴木美智子さんから話を聞く機 会があり、以下の内容であった。 なお、南相馬市の小中学校の授業は原発から30km圏外の南相馬市鹿島区で行われ ており、生徒数の多い原町区(緊急時避難準備区域)、および相馬市に避難している 小中学校生はスクールバス20台で鹿島区の学校に通っている。 ●小中学校の給食について <6月11日より学校給食が開始> 1. これまでは、生徒が弁当箱を持参し、おにぎりと海苔、ウインナーなどの出来合 いのおかずをもらい、これに牛乳という内容だった。 食中毒を予防するため、5月いっぱいでおにぎりを中止し、6月から主食はパンかご 飯になった。 6月11日より給食室を使った震災前の給食が開始された。 2. 昼食の基準カロリー数は小学校 660kcal、中学校 850kcalである。 南相馬市の小中学校生では 4月の時点で、小学校 530kcal、中学校 600kcalとカロ リーは少なく、 6月は小学校 750kcal、中学校 860kcalで基準を越えるようになった。 3. 昼食にかける費用は200円から280円となった。 4. 内部被曝を避けるため食品の生産地を一つ一つチェックし、記録している。 5. 夏休み明けに原町第一小学校、原町第二中学校(いずれも原町区で放射線量は少な い区域)の給食室の使用許可が県からおり、8月末からは、十分な食事を鹿島区内に搬 送できるようになる。給食搬送に向けて、保健所と相談しながら、冷蔵庫の確保や、 保冷の方法を検討している。 ●福島県は、環境放射線モニタリング調査を6月1日から6月10日まで行った。 平均1μsv/hを越えた校庭については、表土交換を国の補助で行う予定である。 ≪南相馬市で1μsv/h以上の校庭≫ (1)50cmの高さ(μsv/h) / (2)1mの高さ(μsv/h) 1)中学校 石神中学校 (1)ー / (2)1.60 原町第一中学校 (1)ー / (2)1.10 2)小学校 石神第一小学校 (1)1.31 / (2)1.30 石神第二小学校 (1)1.70 / (2)1.70 原町第三小学校 (1)1.10 / (2)0.88 太田小学校 (1)1.10 / (2)1.00 3)幼稚園 石神第一幼稚園 (1)1.50 / (2)1.50 石神第二幼稚園 (1)1.70 / (2)1.50 4)保育園 なかまち保育園 (1)1.10 / (2)1.00 ●学校生活について 1. 南相馬市の小中学生は約6,000人であるが避難先から少しずつ戻ってきており、そ の37%が南相馬市で暮らしている。 2. 南相馬市を離れて生活する小中学生本人と父母兄弟(約1800人)に心のケアチーム が関わっている。 南相馬市内に生活する小中学校生とその保護者に対して国、県の援助を得て通常の 約2倍の臨床心理士が心のケアを行っている。市内、外の小中学生には、ともに学校 開始時は分からなかったPTSDが、現在見られるようになってきた。 3. 南相馬市原町区、相馬市と鹿島区の登下校にスクールバスが使用されているが乗 り降りには、行き帰りとも必ず教師が見守りを行っている。 相馬市から鹿島区に通学している生徒を乗せるスクールバス2台は当初、相馬駅前か ら出ていたが、相馬駅に停車するバスが増えてきたため、相馬駅裏の土地を確保し、 そこから出発するようになった。 鹿島区へのスクールバスでの小中学生の搬送は、緊急時避難区域が解除されるまで 行う予定。 4. 体育館の照明は勉強するのには暗かったので、蛍光灯を新たに設置した。 5. 教室にはエアコンを設置することが決まったが、体育館のエアコン設置に関して はこれからの課題となっている。 6. 南相馬市では小学校16校、中学校6校ある。現在、鹿島区の中で合同学級として授 業を行っているが、今後学校ごと完全分離して独立した授業を行うようにしたいとの ことであった。 7. 夏休みは7月23日から8月24日とした。 ●今後の課題 1. 学校内で原子力発電と事故、放射線の勉強を進めていきたい。 2. 医療従事者から放射線と健康被害について医学的見地に基づいた広報を行って欲 しい。 南相馬市立総合病院 外科 根本 剛
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